2月3週目:山の上に立って、遠くを見渡すような。

 今週は、随分と暖かい日が増えました。いかがお過ごしでしょうか。

 私は、今週の日曜日、朝から教会学校に参加しました。中学生はみんな、よく笑っていて、質問が出ました。再来週の日曜日は、私が教会学校での先生を担当します。

 それで、今週は、仕事中にも、気がつくと、教会学校で話す内容を考えてしまいました。いけない、いけない。それでも、うまくまとまりませんでした。

 自分が中学生なら、どういう風に話してもらいたいだろう。「あぁ、今日は来てよかった。明日から頑張ろう」と思って帰ってもらえるでしょうか。

 一方的な価値観の押し付けではなくて。心から「これ、もっと知りたい!」と思えるような。山の上に立って、遠くを見渡すような見晴らしのよさ。

 少なくとも私の場合、そういう時に楽しさを感じます。そういう楽しさを伝えられるとよいのですが。

 「数学は……楽しいです」テトラちゃんがノートをめくりながら言った。「村木先生のカードは感覚的にすごく―ええと、なんていうか、オープンなんです。これで好きに遊びなさいって言われているようで」

 テトラちゃんは夢を見るような口調で続ける。

「だいぶ以前の話ですが、あたしが《先輩から数学を教わっています》って話したとき、村木先生はこうおしゃったんです。《カードをあげるから、ときどき来なさい》って……あたし、思いました。あたしに渡された一枚のカード……この数学的素材から、どんなおもしろいものを見つけられるかは、あたし次第なんだ―って」

テトラちゃんはひとりでコクコク頷く。

「あたしが、大学に行きたいと思ったのも同じころでした。あっと―ちょっと違いますね。あたしは、大学に行きたいわけじゃないんです。そうじゃなくて、あたしは―あたしは学びたいんです。せっかくこの世に生まれたのですから、しっかり学び、いったいどこまで人類がたどりついたのかを見とどけ、そして、あたしなりの一歩、ほんの小さな一歩でいいので、それを進めたい―と思うんです」*1